メタバースの盛り上がりはやや収束した感があるが、今後のユースケースと可能性を信じる声も依然として存在する。コインテレグラフはWeb3の専門家たちに話を聞き、ゲーミング、不動産、観光など様々な産業でのメタバースの可能性について意見を聞いた。

Web3エンターテイメントグループ「イマジナリー・ワンズ」の共同創設者クレメント・チア氏は、大手ブランドがメタバースのような新技術に現実世界の製品を統合できると語った。チア氏は、同社の取り組みを通じてヒューゴ・ボスやサムスンなどのブランドを「イマジナリー」エコシステム内に統合できたと話す。

「ユーザーは、透明性を保証するブロックチェーン技術のおかげでデジタル資産を真に所有できるようになった。トークン化は、スマートコントラクトを通じたプログラミングを可能にし、無限の可能性を開くことで、デジタル世界の進化を表している」とチア氏はのべた。

一方で、メタバース・アズ・ア・サービス企業ランドヴォルトとソーシャルファイナンス企業マテラのCEOを務めるサミュエル・ヒューバー氏は、観光、不動産、スポーツでのメタバースの応用を目の当たりにしているとコインテレグラフに語った。

ヒューバー氏は、湾岸協力会議(GCC)地域の組織が「デスティネーション・マーケティング」のツールとしてメタバースを利用していると強調した。「メタバースは、政府、組織、ブランドがバーチャルツアーや歴史的展示、イベントを通じて、地域を広い観客に紹介するための素晴らしい方法になり得る」とヒューバー氏は語った。

同様に、ヒューバー氏はメタバースが世界中の潜在的な買い手に不動産を提示するために利用されていると指摘する。「デジタルツイン技術とバーチャルリアリティにより、世界中の人々が自宅の快適さから物件を閲覧できるようになる」と言う。同氏はさらに、同社が多くのスポーツチームと協力してメタバース体験を創出してきたとも語った。

メタバースにおけるブロックチェーン技術

メタバースでのブロックチェーン技術の役割について尋ねると、経営者たちは意見が分かれた。チア氏は、単にメタバースの上にブロックチェーンを加えるだけでは「目的」の問題を解決しないと主張した。「ブロックチェーン技術を上乗せするだけでは問題を自然に解決するわけではない。我々は、ユーザーと感情的なつながりを生み出す素晴らしい製品を構築することに集中すべきだ」とチア氏はのべた。

チア氏は、メタバースにはその目的が必要だと信じている。「人々はそれに意味と帰属感を見出すことができるべきだ」と付け加えた。

一方、ヒューバー氏は、ブロックチェーンがなくてもメタバースは依然として「強力」だろうとしながらも、ブロックチェーン技術を統合することがメタバースに重要な利点をもたらすと信じている。これには、不変の記録を通じた透明性、非代替性トークン(NFT)のような独特のデジタル資産、そしてクリエイターや開発者が収益を生み出す新しい方法を提供する収益化モデルなどがある。