ソラナネットワークはトランザクション手数料とMEVの合計値でイーサリアムネットワークを追い抜く勢いにあることがわかった。これは、いわゆる「イーサリアムキラー」としてのソラナの地位にとって重要な進展と言えるだろう。

ブロックワークスのシニアリサーチアナリストであるダン・スミス氏によると、ソラナは早ければ今週中にもイーサリアムのトランザクション手数料とMEVの合計値を上回る可能性があるという。同氏は5月7日のブログ記事で次のように 述べた 。

「ソラナは今月、あるいは今週にも、イーサリアムのトランザクション手数料とMEVの合計値でイーサリアムを上回るだろう」

最大抽出可能価値(MEV)とは、主にプロトコル上でのアービトラージ取引などを通じて獲得される利益のことで、マイナーが自身の利益を最大化するための戦略だ。スミス氏の記事によると、5月7日時点でソラナの「総経済価値」が、イーサリアムの「総経済価値」に迫っていたという。

「『総経済価値』(もっと良い名前を提案してほしい)とは、トランザクション手数料の合計とバリデーターに還元されるMEVの合計を指す。昨日時点で、イーサリアム:3,165,772ドル、ソラナ:2,803,313ドルだ」

ソラナのトランザクション手数料とMEVの合計値、今週中にもイーサリアムを上回るか image 0 Total economic value of Solana and Ethereum. Source: Dan Smith

しかし、ソラナの1日のトランザクション手数料はまだイーサリアムには遠く及ばない。DefiLlamaのデータによると、過去24時間でイーサリアムは275万ドル以上の手数料を生成したのに対し、ソラナは149万ドルだった。

ソラナのトランザクション手数料とMEVの合計値、今週中にもイーサリアムを上回るか image 1 Solana and Ethereum TVL. Source: DefiLlama

トータル・バリュー・ロックド(TVL:預かり総額)で見ると、ソラナのTVLは39億4000万ドルで、イーサリアムネットワークのTVLである530億ドルのわずか7.4%に過ぎない。

ソラナは本当に「イーサリアムキラー」なのか?

ソラナは2020年3月にメインネットでローンチされ、イーサリアムのスケーラビリティの欠如と非効率性を改善することを目的に、1秒あたり5万トランザクション(TPS)の処理能力を謳った、いわゆる「イーサリアムキラー」として登場した。

イーサリアムのレイヤー2(L2)スケーリングソリューションによるモジュール式のアプローチとは異なり、ソラナの一体型のアプローチは、スタンドアローンのブロックチェーンネットワークとしてスケーラビリティと低手数料を実現することを目指している。

しかし、ソラナのアプローチは、頻繁に発生しているネットワーク停止によって批判を集めている。4月初旬、ミームコインの需要により、ソラナトランザクションの約75%が失敗した。これは、ネットワークが急激な需要増に耐えられなかったためだ。

ソラナのステータスページによると、2月6日には、ブロック生成が約5時間停止し、エンジニアとバリデーターがネットワークを再起動するまで復旧できなかった。