マスターカードやシティグループ、ビザ、JPモルガンなどの米主要金融機関は、トークン化を利用した銀行間決済のための分散型台帳技術のテストを行っている。

金融機関大手と決済処理企業のパートナーシップは、「規制決済ネットワーク(Regulated Settlement Network:RSN)概念実証(PoC)」と呼ばれる分散型台帳技術の テストを目的としている 。RSNは、国債や投資適格債券、商業銀行の資金などのトークン化された資産をまとめて決済する可能性を探るものだ。

現在、投資適格債券などの証券や、商業銀行の資金などの資産は、異なるシステムで機能している。RSNを使用すると、さまざまな資産をトークンに変換して分散型台帳で決済することにより、決済手続きが単一のプラットフォーム上で可能になる。

現在のフェーズは、2022年末に開始された12週間のパイロットフェーズを拡張したもので、米国ドルでの決済シミュレーションに重点をおく。

マスターカードは5月8日の声明で、このプロジェクトは「クロスボーダー決済の効率を高め、エラーや詐欺の可能性を減らす」ことを目指していると述べた。

マスターカードのブロックチェーンおよびデジタル資産責任者であるラジ・ダモダラン氏は、「分散型台帳技術をドル建て決済に適用することで、プログラム可能な決済が24時間365日、摩擦なく行われる次世代の市場インフラが可能になる」と期待を込めた。

RSNの概念実証では、参加金融機関に大きな追加が行われた。1つは、銀行間トークン化預金ネットワークにUSDFコンソーシアムが直接参加し、タサートグループが関与すること。もう1つは、大手監査法人であるデロイトがアドバイザリーサービスを提供していることだ。プログラムマネージャーは証券業金融市場協会が務める。

参加する大手銀行は10行で、シティ、JPモルガン、マスターカード、スウィフト、TDバンク、USバンク、USDF、ウェルズファーゴ、ビザ、ザイオンズバンコープ。さらに非営利団体のMITREコーポレーション、BNYメロン、ブロードリッジ、DTCC、ISDA、タサートグループなどの6つのプロジェクト参加者が専門知識を提供する。