ここに表示された見解および意見は、著者のものであり、必ずしもコインテレグラフの見解を反映するものではありません。すべての投資とトレーディングにはリスクが伴うため、意思決定の際に独自の調査を実施する必要があります。

コインテレグラフのコメンテーターでトレーダーのトシムリン氏が久しぶりに今後のビットコインの相場展望について最新記事を寄稿した。

まずはこれまでの私の予測を振り返るとしよう。

前回の記事 では「2023年は3万ドル台が限界」と記載したが、12月31日の終値が4万2258ドルとなったため、僅かの差で予測を外すこととなった。

但し、今年の1月に入ってからは再び3万ドル台に戻ったことを鑑みれば、そこまで大それた予測ではなかっただろう。(図1参照)

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[図1 2023年の振り返り①]

また、同記事では「ビットコインにとってポジティブサプライズが起こるとすれば、政治的圧力に負けてSECがビットコイン現物ETFを承認することだろう」と述べた上で、「もしビットコインに少し目立った反発が起こるのであれば恐らく、10月中旬頃から11月にかけてだと見ている。その要因が現物ETFの承認になる可能性はあるだろう」とも述べた。

その後、ビットコインはETF承認期待及び、承認により10月中旬頃から11月にかけて大きく上昇に転じたため、この時期に関しては予測通りだったと言えるだろう。(図2参照)

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[図2 2023年の振り返り②]

1月24日に投稿した当ブログの記事では今年の大統領選を背景に「大統領選前後まではそれなりの調整があればビットコインも米株も買いのチャンスとなってくる」と述べた。(図3参照)

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[図3 2024年の振り返り①(当ブログより)]

さらに、3月8日に投稿した記事では「2月21日-23日頃が一旦トップを打つ可能性があるタイミングで、そこで調整が起きなければバブル相場継続となり、3月中旬頃を起点に調整が起こる可能性がある」と述べた。 その後、3月中旬頃まで続伸したものの、そこから調整入りしたため、これも想定通りだと言えるだろう。(図4参照)

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[図4 2024年の振り返り②(当ブログより)]

さて、振り返りはここまでにして、テクニカル分析などを活用して今後の展開を予測するとしよう。

まず大局の流れを把握するために、今回は私のテクニカル分析の軸であるエリオット波動論を活用して分析することにしよう。

エリオット波動論をご存知でない方のために、この理論を一言で表現するのであれば「相場波動は5つの上昇波と3つの下降波(調整)を基本としてひとつの周期が成り立っているとする考え方」だ。

ビットコインが誕生してから2021年11月10日の高値まで5波形成(青の上昇)、その高値から2022年11月21日の安値までが3波形成(青の調整)となっており、一つの上昇サイクルが完成している。(図5参照)

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[図5 エリオット波動の観点からみたビットコイン]

そして、11月21日の安値から新しい上昇サイクルがスタートしており、現在は5波目(紫の上昇)となっている。

相場はフラクタル構造になっていることが多い。

フラクタルとは「部分が全体と自己相似となるような図形」のことを示し、相場だけではなく、自然界の様々な所に現れる。

相場のフラクタルはエリオット波動と深い関係にあり、これを理解すると、より一層エリオット波動が使いこなせるようになる。

このフラクタルを活用すると、2021年11月10日の高値まで5波形成(青の上昇)が大きな赤の1波、その高値から2022年11月21日の安値までが3波形成(青の調整)が大きな赤の2波、そして、現在形成中である5波(紫)が、今後、超長期的に形成しうる大きな赤の3波の中の初動の1波(紫の5波)という認識になる。(図6参照)

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[図6 エリオット波動の観点からみた長期ビットコインの展開]

複雑かもしれないが、とにかく、ビットコインはこれから始まる可能性が高い大きなメガトレンドの初動に過ぎない。

但し、勘違いして頂きたくないのは、これまであったように短期間で2倍や3倍になるような動きにはならないだろう。

ビットコインは、これまでリスクの高い金融商品として見なされてきたが、ETFが承認したことで真っ当な金融商品へと変わりつつある。

実際、米ミレニアム・マネジメントなどヘッジファンドのほか、長期運用の年金基金などの参入により、ビットコインの現物を組み入れたETFを保有する機関投資家が3月末時点で995社に達することが明らかになっている。

真っ当な金融商品とみなされてきているということは売買を行う人も増加してくるため、ボラティリティーも徐々に落ち着いてくることになるだろう。

2024年5月31日にはDMM社から480億円相当のビットコインが流出する事件が起きた。

2018年のコインチェックによる約580億円相当が国内最大で、DMMビットコインはそれに次ぐ規模だが、下落は限定的であったことを見てもボラティリティーは以前に比べると縮小しつつあることがわかる。

CME(シカゴにある北米最大の金融・商品のデリバティブ取引所)の取組高を見てもビットコインは新たな上昇ステージに入ったことを示唆している。

これまでCMEの取組高は黒のチャネルライン内で推移してきた。

しかし、今年の3月頃に、このチャネルラインを明確に突破し、5月頃にはそれが逆にサポートとして機能している。

これは俗に言う、ロールリバーサルと呼ばれるもので、これまでレジスタンスだったものがサポートとして機能することであり、新たな上昇トレンドに突入したことを示唆している。(図7参照)

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[図7 CME取組高の観点からみたビットコイン]

短中期的な動向予測をするのであれば、現在は紫の5波目を形成中であり、一般的に5波目は3波の高値を超える。

つまり、直近最高値である7万3920ドル付近は近いうちに超えることは間違いないだろう。

そのまま順当に続伸していけば、紫のシナリオのように、まずは8万1570ドル近辺を目指す展開が考えられる。

そこを明確に突破すれば次は緑のシナリオのように9万9390ドル付近がターゲットとなってきそうだ。(図8参照)

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[図8 エリオット波動の観点からみた中期ビットコインの展開]

これはあくまでターゲットの目安であり、上昇に弾みがつけば、この限りではない。

一つ注意すべき点は現在、形成している紫の5波形成完了後はそれなりの調整が起こる可能性があるということだ。

超短期的な動向を述べるのであれば68412~71350ドルは2021年に高値掴みをしてしまった投資家と、ここ直近で高値掴みをしてしまったファンド勢の「やれやれ売り」が入りやすいため、これが解消されるまでは上値が重い展開が続くだろう。

しかし、ファンド勢やマイナーも売り目線には転じていないため、ここを上抜ければ買いに対して強気に転じるだろう。(図9参照)

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[図9 ビットコインの短期的動向]

市場には金脈のようなものが存在するが、その金脈は既にアメリカで掘り当てられている。

また、6月からQTの縮小(米国債の償還に伴う保有証券減少のペースが月間最大600億ドルから250億ドルに減少)も開始されるので市場は支えられやすい。

これらの環境を含めても今年はまだビットコインの上昇は続くだろう。

ビットコインの上昇に弾みがつくのであれば大まかに見て、6月中旬~7月中旬頃だろう。

とにかく、ビットコインはもう高すぎて手が出せないと感じる人も多いかもしれないが、まだまだ、これから始まるメガトレンドの初動にすぎないと私は考えている。

そのため、高すぎるのであれば積み立て投資なども一つの手だろう。

著者 トシムリン

トレード歴16年の現役為替トレーダー。20歳の頃から専業トレーダーとなる。6年間はトレードが上手くいかず一時借金を背負ったが、研究と分析を積み重ねて独自手法を編み出し、7年目からプラス収益となり、そこからは安定的に利益を出し続けている。一般投資家が持ちえないマーケットの内部構造を多角的に分析して市場を予測していくことが得意分野。分析能力と育成能力に定評があり、トレード教育によって多くの常勝トレーダーを輩出している。

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