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日本:仮想通貨市場のパイオニア

Bitget Research
2024/07/08
日本:仮想通貨市場のパイオニア

概要

  • 日本は海外諸国と比較して、仮想通貨(暗号資産)への取り組みをいち早く開始した市場のひとつで、1日のアクティブトレーダー数は約35万人です。
  • 規制環境の面では、日本政府は早くから仮想通貨を規制することの重要性を認識し、関連政策を実施してきました。これらの政策は、仮想通貨業界を指導し、その成長を促すことに重点を置いています。
  • オンチェーン取引の傾向としては、日本のユーザーはNFTやDEXのトランザクションに慣れ親しんでおり、オンチェーンタスクプラットフォームやメタバースゲームプロジェクトへの参加に強い関心を持っています。
  • 取引の傾向としては、日本のユーザーはスポット取引を好み、主に主流な仮想通貨とローカルプロジェクトのトークンに焦点を当て、確立されたプロジェクトのトークンへの投資に高い関心があります。
  • 中央集権型取引所に対する嗜好という点では、日本のユーザーは他の地域と比較して、ローカライズされた中央集権型取引所に対する高い需要を示しています。 分散型取引所については、 日本のユーザーは主にUniswapやPancakeSwapといった様々なチェーン上の主要な分散型取引所を利用しています。 最もよく利用されているウォレットには、MetaMask、Bitget Wallet、Phantom、Trust Wallet、Coinbase Walletなどがあります。
  • 最後に、Bitget Researchは、上記の分析を総合して、日本の仮想通貨市場の将来動向について5つの主要な予測を行いました。

紹介

歴史と文化が豊かな日本は、伝統と現代的な革新が融合した独特な国として知られています。日本は技術革新と金融の分野で世界的な評価を得ており、その強固な金融システムと最先端のフィンテックソリューションによって、世界経済における重要な地位を確保しています。日本は、仮想通貨を理解し、注目し、その発展を奨励した最初の国のひとつであり、世界市場において極めて重要な役割を担っています。
現在、日本における仮想通貨の普及率は世界最高水準です。近年、日本では仮想通貨産業に対する規制の枠組みが徐々に整備され、この分野の成長を奨励し後押しする政策が打ち出されています。その結果、仮想通貨は日本のユーザーの間でオルタナティブ投資資産の有力な選択肢となりつつあります。
本レポートは、詳細な市場調査により日本の仮想通貨市場の現状を網羅的にご紹介するものです。日本のユーザーがエコシステムにおける自分の位置づけや志を同じくするコミュニティを見つけるだけでなく、Web3プロジェクトチームや仮想通貨関係者が日本市場をよりよく理解し、進出するための一助となります。

1.市場概要

1.1 地域の概要

仮想通貨の全体的な流通量と浸透度合いにおいて、日本は世界有数の地位を占めています。 Chainalysisの2023年導入指数によると、日本は世界第18位です。イギリス、カナダと並び、フランス、ドイツ、オランダなどの主要な西欧諸国を上回っています。
日本の仮想通貨普及指数の内訳を見ると、 CeFiとDeFiの普及率はいずれも同様の世界ランキングを示している一方、P2P取引は世界平均を大きく下回っています。
2023年版グローバル仮想通貨普及指数 — 日本関連部分を抜粋
総合指数ランキング
中央集権型サービス仮想通貨取引量ランキング
リテール中央集権型サービス仮想通貨取引量ランキング
P2P 取引量ランキング
DeFiの預け入れ仮想通貨額ランキング
リテールDeFi預け入れ仮想通貨額ランキング
日本
18
22
21
49
18
18
出典:Chainalysis「2023年度Geography of Cryptocurrency Report」
日本の仮想通貨市場には2つの顕著な特徴が見られます。「全体として平均的」と「独特の傾向」です。
「全体として平均的」とは、東アジア諸国の中で、日本の主要指標が世界平均に最も近いことを意味します。以下の2つの図に示されているように、日本の仮想通貨の送金規模や利用されているプラットフォームの種類に関するデータは、世界平均と非常に近似している一方で、他の東アジア諸国では大きなばらつきが見られます。
「独特の傾向」とは、多くのトレーダーがミームコインの Solanaや、AI、DePINのような通貨のトレンドを追いかける一方で、日本のユーザーはSHIBのような第一世代のミームコインや XRP、ADAのような確立されたブルーチップトークンに強い関心を維持していることを指しています。
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出典:Chainalysis「2023年度Geography of Cryptocurrency Report」
さらに、 日本にはビットバンク(bitbank)、ビットフライヤー(bitFlyer)、Coincheckといった有力なローカルの取引所があり、これらは合計すると国内のCEX市場シェアの半分を占めます。 特に、中高年のトレーダーは、海外の 仮想通貨取引所と比較して、こうしたローカル取引所を強く選好する傾向があります。

1.2 日本の仮想通貨政策と社会的背景による影響

1.2.1 日本の仮想通貨政策
日本での当初の規制方針
2014年、世界的な大手ビットコイン取引所であるMt.Goxがハッキング被害に遭い、日本の仮想通貨業界はかつてない大打撃を受けました。この事案により、個人投資家は85万ビットコインを失いました。
2018年には日本のローカル取引所Coincheckもハッキング被害に遭い、5億3400万ドル相当の仮想通貨資産が失われました。Coincheckは、後に、影響を受けたユーザーへの補償を発表しました。これらの出来事は、投資家の資金を保護し、仮想通貨市場を安定させ、仮想通貨資産を確実に規制するための法律の導入の必要性を浮き彫りにしました。一連の出来事を受けて、日本政府は仮想通貨資産の規制枠組みを積極的に計画し始めました。
日本での現在の規制方針
近年、日本政府は仮想通貨分野の技術革新が安全かつ責任ある形で進展するよう、明確な規制措置を導入してきました。たとえば以下のようなものが挙げられます。
  • 2017年、日本では資金決済に関する法律が改正され、規制の対象に仮想通貨取引所が含まれ、金融庁(FSA)が監督するライセンス制度が導入されました。
  • 2021年以降、日本の仮想通貨業界は トラベルルールの問題に取り組んできました。当時、金融庁は仮想通貨資産のサービスプロバイダーにトラベルルールの実施を求めていました。
  • 2022年4月には日本暗号資産取引業協会(JVCEA)が自主規制ルールとしてトラベルルールを導入しました。
  • 2022年10月、日本政府は、金融活動作業部会(FATF)のガイドラインに基づき、仮想通貨を利用したマネーロンダリングを抑制するため、現行法改正を閣議決定しました。
  • 2023年6月、国会で、デジタル通貨業界に対してより厳格なマネーロンダリング防止(AML)規制を導入する計画が確認されました。
全体として、Mt.GoxとCoincheckのハッキング事件の影響で、日本政府は仮想通貨規制の重要性を一早く認識し、関連施策を実行に移してきました。最近の規制措置により、日本の仮想通貨規制はより明確かつ厳格になると同時に、業界の成長を後押しし育成することに重点が置かれるようになっています。
1.2.2 社会的背景による影響
日本の文化的特徴は歴史に深く根ざしており、日常的な社会生活を形作るのみならず、芸術、教育、商習慣にも多大な影響を与えています。仮想通貨業界への影響は、いくつかの主要分野で見られます。
  1. 教育の重視:日本社会では教育が非常に重要であり、家庭や学校からの要求も高いことから、日本人の平均的な教育水準は高く、その結果、仮想通貨市場での日本人参加者の教育水準は高い傾向があります。
  2. イノベーションの重視:日本はテクノロジーとイノベーションにかけて、世界でトップクラスです。このイノベーションの精神は、ローカライズされた革新的なゲーム事業やNFTなどの技術的な取り組みといった形で、Web3スペースにも及んでいます。
  3. 芸術の重視:日本は芸術と文学の豊かな伝統を誇り、アニメ文化や知的財産産業も発達しています。村上隆氏のように、二次創作や著作権保護がスムーズに行われるよう ブロックチェーンを活用している芸術家もいて、日本における活発なNFTユーザーコミュニティの形成に貢献しています。

1.3 市場規模

過去6か月間のCEXへのユーザートラフィックに基づけば、日本の市場規模はトルコとインドネシアの間に位置づけられ、韓国の約3分の2の規模にあたります。
今年 4月の推計によると、31万人から36万人の日本のユーザーがCEXで日常的に取引を行っています。
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出典:Similarwebおよび取引所の内部データ

2. ローカルユーザープロフィール

2.1 ユーザーの取引傾向

2.1.1 ユーザーの取引傾向
画像:日本の仮想通貨ユーザー傾向を示すワードクラウド
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出典:Google Hot Searches
日本のユーザーは、仮想通貨取引やプロジェクトインタラクションに対して積極的な立場です。いくつかの重要な特徴が挙げられます。
  • 仮想通貨の浸透度合いが高く、世界的にも大きなシェアを占めています。
  • ワードクラウドで「Pepe」「AI」「GPT」などのキーワードが頻繁に言及されていることからわかるように、トレンド資産に重点的に投資しています。
  • 特にNFTセクターにおけるオンチェーンアセットインタラクションへの関心が高く、「ウォレット」「NFT」「Blur」といった用語に大きな関心を寄せています。
2.1.2 日本ユーザーの取引やインタラクションの傾向
取引に関しては、 日本のユーザーは現物取引を好み、主に主要資産(BTC、ETH、XRP、SOL、DOGE)とローカルプロジェクトのトークンを扱っています。この傾向は次のような要因によって形成されていると言えます。1. 日本の規制上の制約により、国内の取引所では金融庁が承認した仮想通貨しか扱えず、デリバティブ取引のレバレッジは最大2倍に制限されています。その結果、 先物取引やアルトコイン取引に携わる一部の日本人トレーダーは、海外の取引所を選好します。2. 日本人ユーザーの平均的な英語力は高いわけではないため、新しいプロジェクトをタイムリーに発見できないことがあります。その代わりに、ミームコインブーム初期から続いているミームコイン(SHIB、DOGE)を買うことに集中し、その価格高騰から利益を得ています。さらに、日本のユーザーの多くは長期保有者ですが、その主な理由は、仮想通貨の利益に対する税率が高く、最大45%に達することもあるため、短期的な利益よりも長期的な投資リターンを重視していることにあります。
アプリケーションのインタラクションについていえば、日本には従来型のゲーム産業において強固な基盤があるため、ローカライズされたブロックチェーンゲームプロジェクトが数多く存在します。これらの多くは、ゲーム内のアイテムや資産をトークン化し、NFTやその他の仮想資産を生み出します。そのため、日本のユーザーはオンチェーンでのDEX取引、NFT送金、スマートコントラクトに精通しています。
支払いや資産の入出金に際しては、仮想通貨は日本国内の取引所で交換されることが大半ですが、 法定通貨取引(P2P、 サードパーティ、カード 購入)が行われる場合もあります。日本の仮想通貨決済の環境は比較的良好で、六本木や銀座のような繁華街では、いくつかの実店舗がBTC、ETH、USDTなどの通貨での支払いを受け付けています。

2.2 人気のあるセクターやプロジェクト

2.2.1 人気のあるプロジェクトやセクター
日本ユーザーの間で人気のあるプロジェクトセクターのトラフィック(2023年11月~2024年4月)
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出典:Similarweb
日本のユーザーは、NFT取引、オンチェーンタスクプラットフォーム、オンチェーン取引、Web3ゲームに高い関心を示しています。 最もアクセス数の多い上位10サイトのうち、2サイトがNFT取引プラットフォーム(OpenSeaとMagic Eden)であり、日本のユーザーのNFT取引に対する強い熱意を示しています。また、Web3タスクプラットフォームやDEXデータ・取引サイトも人気が高く、各種エアドロップキャンペーンへの参加やオンチェーン資産の取引への関心が高いことがわかります。
さらに、日本市場ではいくつかのローカルプロジェクトが注目を集めています。たとえば、「和製イーサリアム」とも呼ばれる Cardano(ADA)は、日本でかなりの関心を得ています。その創設者であるCharles Hoskinson氏は、Cardanoを裏付けるテクノロジーとビジョンを広めるために、日本で複数のセミナーや活動を行いました。元ソニー社員の佐藤 一雅氏によって設立されたIoTプラットフォームJasmyCoin(JASMY)も「AIとIoT」というストーリーを掲げており、今年の第2四半期にはトークン価格が3倍に上昇したため、かなりのトラフィックを記録しました。Astar(ASTR)やOasys(OAS)など、日本のチームが率いる他のプロジェクトも、日本国内での高い認知度と取引需要があります。
従来のDeFiプロジェクトやレイヤー2のインフラプロジェクトは、日本国内のイニシアティブには多く見られないことがわかります。その代わりに、Web3ゲームプロジェクトの適応、Web2 IPのWeb3への移行、IoT技術の取り込みなど、Web2ビジネスをブロックチェーン領域に拡張することに重点が置かれているのです。そのため、日本のプロジェクトは、仮想通貨を完全に駆使しているとは言い難いものの、ブロックチェーン技術を現実世界と統合し、実装する取り組みの最前線に位置づけられます。
2.2.2 過去3か月にわたる日本ユーザーの仮想通貨に関する主要関心トピック
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出典:Google Trends
日本のインターネットユーザーが最も多く検索した「仮想通貨」に関連する用語を調べた結果、今年2月下旬から3月上旬にかけて仮想通貨への関心が過去1年間で最も高まったことがわかりました。このピークは、BTCが急上昇し、最高値を更新した時期と重なります。
興味深いことに、米国、英国、アラブ首長国連邦などの国々を含め、世界の検索動向のピークは3月3日から3月9日にかけてでした。 つまり、日本のインターネットユーザーの仮想通貨用語への関心のピークがより早く現れており、BTC価格の変化に対する感度が比較的高いことが見て取れます。
過去1年間の検索キーワードの上位を分析したところ、日本のユーザーが頻繁に検索した用語は次のとおりでした。
  • SHIB、DOGE、Solana、XRP、ADA
過去3か月間(2月28日~5月28日)の日本における上位の検索用語の例は次のとおりです。
  • PEPE、QUBIC、AEVO、NOT
このデータから次のことがわかります。
(1) 日本のユーザーは、DOGEやSHIBなど第一世代のミームコインに高い関心を持っています。Shiba InuやAkitaなど、犬をテーマにしたミームコインを好む傾向が反映されている可能性もあります。複数の取引所の内部データによると、BABYDOGEも日本のユーザーが好んで取引するミームコインの一つです。しかし、BOMEやSLERFのような最新の人気ミームコインは、検索トレンドには見当たりません。
(2) 日本のユーザーは、XRPやADAのような初期のブルーチップトークンに引き続き熱中しています。海外の大半の国では、これらのトークンは過去1年間のトレンド検索リストには登場していません。また、日本の金融大手SBIグループとRipple社(リップル)の提携の影響で、日本でのXRPへの高いトラフィックが維持されています。
これらの結果から、日本の仮想通貨取引は「独特の傾向」によって特徴づけられていることが改めて明らかになりました。

2.3 ローカルソーシャルプラットフォームとメディア

種類
メインプラットフォーム
言語
主なコンテンツ
ローカルソーシャルプラットフォーム
X(旧Twitter)
日本語
市場動向についてのやりとりが中心です。BTCやETHといった主要仮想通貨だけでなく、さまざまなセクターにも焦点が当たります。小型キャップトークンについて速報的に追跡・分析するインフルエンサーもいますが、Solanaチェーンに関するコンテンツは多くありません。
ローカルソーシャルプラットフォーム
YouTube
日本語
主にミームコインやアルトコインの具体的な取引分析や 見どころを紹介し、これらの資産を推奨するコンテンツが人気です。さらに、少数の独立系メディアや専門家による仮想通貨技術の詳細な説明などのコンテンツも提供されています。
ローカルソーシャルプラットフォーム
Line
日本語
日本で最もよく使われているソーシャルコミュニケーションアプリです。主にプロジェクトについての情報や意見を共有するやりとりが行われています。
業界メディア
Cointelegraph
日本語
マクロ経済、注目セクターに関するニュース、市場分析、資金調達ニュース、最新の規制動向、業界分析など幅広いトピックが扱われています。
業界メディア
CoinDesk
日本語
マクロ経済、注目セクターに関するニュース、市場分析、資金調達ニュース、最新の規制動向、業界分析など幅広いトピックが扱われています。
業界メディア
CoinPost
日本語
日本で最もアクセス数の多いメディアです。マクロ経済、注目セクターに関するニュース、市場分析、資金調達ニュース、最新の規制動向、業界分析など幅広いトピックが扱われています。
業界メディア
CryptoTimes
日本語
マクロ経済、注目セクターに関するニュース、市場分析、資金調達ニュース、最新の規制動向、業界分析など幅広いトピックが扱われています。
日本のオンラインコミュニティの主なプラットフォームはX(旧Twitter)、YouTube、Line、Telegramで、主に公用語である日本語が使用されますが、英語のコンテンツもあります。他の国に比べて、日本はバーティカルメディアが好まれる傾向が顕著です。CoinDeskとCointelegraphは独自のドメイン名と完全日本語対応のコンテンツからなる日本語専用サイトを運営しています。これらのバーティカルメディアの中では、CoinPostのトラフィックが最も多く、月間訪問者数は250万人に達し、次いでCointelegraphの月間訪問者数が約150万人となっています。
コンテンツについてみれば、チャネルごとにブロックチェーン技術への理解や関心は異なります。トピックは、マクロ経済、注目セクターに関するニュース、市場分析、資金調達ニュース、最新の規制動向、業界分析から、具体的な取引分析やミームコインやアルトコインのレビュー、さらには仮想通貨技術についての詳細な説明など基礎知識に関するものまで多岐にわたります。

3. 市場の競争環境とプラットフォーム別の強み

3.1 中央集権型の取引所(CEX)

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出典:Similarweb
過去1年間、日本のユーザーによるCEXへのトラフィックは増加傾向にあり、2024年4月にはユニークビジターが258万人に達し、前年比17%増となりました。
CoinbaseとKrakenは2023年第1四半期に日本市場からの撤退を開始し、日本のローカル取引所や他のグローバル取引所にとってビジネス機会が広がりました Bitbank、bitFlyer、Coincheckのような主力のローカル取引所は、合計でCEXのトラフィックシェアの42%以上を占めています。これは、多くの欧州・東南アジア諸国で観察されるデータとは大きく異なります。これら3つのローカル取引所は、一部の著名な海外の仮想通貨取引所よりも早い2014年に設立され、ローカル市場に根強い基盤を築いています。
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出典:Similarweb
ユーザーの属性を見ると、日本のCEXユーザーの男女比は約3:1で男性の方が多くなっています。年齢分布を見ると、18歳から34歳までのユーザーと35歳以上のユーザーがほぼ半々の割合を占めています。興味深いことに、若年層(18~34歳)は海外の仮想通貨取引所を好むのに対し、高齢層(35歳以上)は日本国内の取引所を好む傾向があります。
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前述の国内仮想通貨取引所に加え、楽天ウォレットもユーザーの間で人気を博しています。基本的にCEXである楽天ウォレットは、楽天銀行がサポートするサービスです。基本的なビジネスモデルは、ユーザーが日々の買い物などで獲得した楽天ポイントを使用して仮想通貨に投資できるというものです。楽天ポイントは、プラットフォームの入出金ニーズと 仮想通貨投資・決済シナリオを統合させ、日本ユーザーの仮想通貨投資と日々の支出を結びつける役割を果たしています。

3.2 分散型取引所

日本のユーザーによる分散型取引所の利用傾向
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出典:Similarweb
日本のユーザーが最もアクセスする上位3つのDEXサイトは、他の地域と大きく異なり、PancakeSwap、Jupiter、Uniswapです。 日本は、Uniswapが1位にならず、PancakeSwapよりもトラフィックが劣る、数少ない地域の一つです。 これは、 日本のユーザーがEthereumやBaseチェーン上のトークン取引に対して、SolanaやBSCチェーン上のトークン取引に比べて相対的に関心が低いことを示しています。
ほとんどのユーザーは分散型取引所に直接アクセスしますが、Google検索やソーシャルメディアリンクからアクセスするユーザーもいます。このことは、日本のユーザーが分散型取引所の評判を重視し、一度特定のプラットフォームを利用する習慣が身につくと、そのプラットフォームへのブランドロイヤリティを一定程度示す傾向があることを示しています。X(旧Twitter)はプラットフォームへのトラフィックを誘導する役割を担っていますが、その割合は限定的です。

3.3 ウォレット

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出典:data.ai
(注:Binance WalletやOKX Walletのような一部の人気ウォレットは、中央集権型取引所と同じアプリを共有しており、単独のトラフィックデータを抽出することができないため、上の表には表示されていません。)
ウォレットの利用状況を見ると、日本ではMetaMask、Bitget Wallet、Phantom、Trust Wallet、Coinbase Walletの5つが上位を占めています。
MetaMask は、イーサリアムのエコシステムにおいて最も早く登場したウォレットの1つであり、大きな先行者利益を享受しています。ほとんどのEVM互換チェーンエコシステムプロジェクトは、MetaMaskに優先的に対応しており、日本のみならず世界でも非常に人気があります。
Bitget Walletは、日本でのダウンロード数で、MetaMaskに次ぐ2位に急浮上しました。この成功は、鋭い市場洞察力に基づく迅速かつ継続的な取り組みによるものです。Bitget Walletは現在100を超えるチェーンに対応し、スワップ向けに革新的な 流動性集約アルゴリズムを提供し、よりスムーズな取引体験を実現しています。さらに、最近、Solanaチェーンに対応できるよう機能を拡張し、オンチェーンアノマリーアラートと市場トレンドに関するスマートレコメンデーションサービスを取り入れました。これによって、Solanaチェーンの活動に対するユーザーの認識が広まり、活況を呈するミームコイン市場でオンチェーン分析を使ってより多くのアルファを見つけられるようになりました。NFTの分野では、Bitget WalletのNFTマーケットプレイスは、あらゆる仮想通貨でNFTを購入できる初のプラットフォームです。ユーザーのニーズを理解し、迅速に対応することで、Bitget Walletは日本でのダウンロード数で2位に躍進しました。
Solanaエコシステムが人気を博す中で、Solanaネットワークで最も人気のあるネイティブウォレットであるPhantomが3位に浮上しました。Phantomによって、Solanaエコシステム内に質の高いパートナーからなるネットワークが構築されています。このネットワークは、Solanaエコシステムの現在の人気と相まって、トラフィックを生み出す強力な仕組みとなり、Phantomのユーザーベースの急速な増加につながりました。日本におけるPhantomウォレットの人気は、Solanaエコシステムの力強い回復、活況を呈するミームコイン市場、エコシステムがもたらすビジネスチャンス、将来のエアドロップへの期待など、いくつかの要因によってもたらされています。
4位にランクインしたTrust Walletは、2017年にローンチされ、大きな先行者利益に支えられています。シンプルでユーザーフレンドリーなデザインは、日本のユーザーの嗜好によく合致しており、かなりの人気を得ています。
5位はCoinbase Walletです。Coinbaseは2023年1月に日本市場からの撤退を発表し、日本のユーザーはCoinbase取引所を利用できなくなりましたが、Coinbase Walletはこれまでどおり運営を続けています。Coinbaseのブランドとセキュリティを背景に、Coinbase Walletは現在も地域のユーザーの間で人気のサービスとなっています。

まとめ

日本は、伝統と現代的なイノベーションが融合したユニークな国として広く知られており、他の多くの国に比べて新しい技術開発に対する受け入れが早い国です。日本は、仮想通貨について理解し、注目し、その成長を後押しした最初の国の一つです。本レポートでは、日本の仮想通貨市場を「市場概要」、「ローカルユーザーのプロフィール」、「市場の競争環境とそれぞれのプラットフォームの強み」という3つの側面から調査しました。
仮想通貨市場としては、日本は仮想通貨全体の取引量と浸透度合いにおいて世界第18位です。中央集権型取引所における1日あたりのアクティブユーザー数は約35万人で、これはトルコに匹敵する数字です。
規制動向や社会的背景について見ると、Mt.Gox事件以降、日本政府は仮想通貨規制の重要性を早期に認識し、関連施策を実施しました。 教育、イノベーション、芸術を重視する社会的背景から、日本のユーザーは一般的に教養が高く、ブロックチェーンゲームやNFTに高い関心を示しています。
日本のユーザーは仮想通貨取引やオンチェーンのプロジェクトインタラクションに慣れており、いくつかの重要な特徴が指摘できます。
  • 現物取引を好み、主に主要仮想通貨やローカルプロジェクトのトークンを取引します。
  • DOGEやSHIBといった第一世代のミームコインや、XRPやADAといった初期のブルーチップトークンに高い関心を有しています。
  • NFT取引、オンチェーンタスクプラットフォーム、オンチェーン取引、Web3ゲームに積極的に参加しています。
市場の競争環境とプラットフォームごとの強みという点では、ローカルの取引所が市場シェアの42%以上を占めており、その数値は西欧や東南アジアを大きく上回っています。分散型の取引所については、データ上ほとんど差がなく、ユーザーの取引傾向としてはSolana、BSC、Ethereumなどの主要なオンチェーンの分散型取引に集中しています。ウォレットの利用率でいえば、MetaMask、Bitget Wallet、Phantom、Trust Wallet、Coinbase Walletが日本の上位5つを占めます。
最後に、読者の方への参考情報として、日本市場に関する今回の網羅的な調査に基づき、Bitgetリサーチは2024年下半期の日本市場の動向を以下のように予測しています。
  • コンプライアンス政策が国際的に広がっていることや仮想通貨資産ETFが米国で上場したことにより、日本でも仮想通貨に投資する機関投資家や個人投資家が増えることが予想されます。
  • 日本における仮想通貨の普及率は上昇を続け、世界の上位20か国にとどまると予想されます。仮想通貨を取引する1日のアクティブユーザーは、2024年の35万人から年末には約50万人に増加することが予想されます。
  • 日本のユーザーは、NFTやオンチェーンタスクプラットフォームを一層利用するようになり、ブロックチェーンゲームのようなローカライズされたプロジェクトへの参加に引き続き積極的であることが予想されます。
  • 国内のいずれかのブロックチェーンゲームプロジェクトが資金支援を受け、国際的に重要な仮想通貨イニシアティブになる可能性があります。
  • 取引集約機能やNFT取引機能を備えたウォレットは、日本のユーザーの間でさらに普及するものと予想されます。